静岡県産みかんの歴史
古事記などにある「ときじくのかぐのこのみ(非時香菓)」は、橘(たちばな)といわれています。そのため、京都御所には右近の橘として、左近の桜と並んで橘が植えられています。橘は日本原産といわれ、伊豆地域には橘の自生地があります。
柑橘は、温暖な静岡県の気候に適するため、室町時代には御前崎市の「白羽こうじ」などが知られています。江戸時代に栽培が盛んだった「小みかん(紀州みかん)」は、今も駿府城内に徳川家康公お手植えとされる「小みかん」の樹が残っています。
現在一般的に食べられている「みかん」は、江戸時代に九州で見つかった「うんしゅうみかん」です。種ができないため、江戸時代には栽培が広がりませんでしたが、明治以降には県内各地に栽培が広がり、静岡県は全国的なミカン産地となりました。
今ではいろいろな品種が栽培されています。静岡県内で生まれたうんしゅうみかんの品種としては、公的機関が育成した「興津早生」、農家が見つけた「青島温州」「寿太郎温州」などがあります。
静岡県産みかんのデータ
区分 | 1位 静岡県 |
2位 和歌山県 |
3位 愛媛県 |
全国 |
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収穫量 | 69,900t | 52,900t | 40,100t | 277,400t |
全国に占める割合 | 25% | 19% | 14% | 100% |
和歌山県や愛媛県は「早生みかん」の比率が高いため、みかん全体の出荷のピークは12月頃ですが、静岡県産みかんのピークは1月以降。熟成させて4月頃まで出荷するみかんもあります。春先まで食べられるおいしいみかんは、静岡県産のみかんかもしれませんね。
できるまで
- 4月~5月
- 摘蕾
摘蕾
開花前に余分なつぼみを間引きして、果実に栄養が行きわたるようにします。
おおよそ、5月上旬に開花します。
- 6月~7月
- 施肥(夏肥)・粗摘果
施肥(夏肥)
夏肥は果実を大きくするために行われます。
粗摘果
おいしいみかんを安定的に生産するために、果実の数をある程度まで減らす、摘み取り作業です。
- 7月~8月
- 仕上摘果
仕上摘果 収穫前までの期間に、傷、病気、虫食い、変型などのある果実を摘み取る作業です。
- 10月~11月
- 施肥(秋肥)
施肥(秋肥) 秋肥は収穫後に栄養を蓄えるために行います。
- 11月~2月
- 収穫~貯蔵〜出荷
収穫
収穫は下記の表の通りになります。(参考)
貯蔵
青島みかん、寿太郎みかんは、収穫直後の果実は酸味が強く、1〜3ヶ月ほど貯蔵することで、酸味を落ち着かせて食べやすくします。極早生みかん、早生みかんは収穫直後の果実を出荷するため、貯蔵の作業は省かれます。
熟成させてから出荷する「貯蔵みかん」は一定の温度や湿度の中でしばらく寝かされ、1月頃から4月上旬頃まで出回ります。
出荷
極早生みかん9月~10月、早生みかん11月~12月、青島みかん12月中・下旬~4月、寿太郎みかんは2~3月となります。
ハウスみかんは6月上旬から9月下旬に収穫され、出荷されます。
- 2月~3月
- 整枝・剪定・施肥(春肥)
整枝・剪定
みかんの木に日光がよく当たり、風が通るように、余分な枝を切る作業です。
施肥(春肥)
みかんの施肥は通常、春・夏・秋に分けて行います。
春肥は新芽や果実の発育のために行います。
健康みかん
見わけかた
食べかた
食べる?
みかんとは?
一般に「みかん」といわれるのは、みかん科カンキツ属の中の「うんしゅうみかん」のこと。
うんしゅう(温州)みかんは、皮が薄くてむきやすく、食べやすいのが特徴です。冬の代表的なくだものですが、
品種の多様化やハウス栽培などにより、夏から翌春にかけて長期間楽しめるくだものとなりました。
成熟時期によって早生や普通などの種類に分かれ、それぞれの種類で数多くの品種が栽培されています。
静岡県では、ほぼ全域で栽培されている普通温州の「青島温州」や、
沼津地域を中心とした「寿太郎温州」などが有名です。
みかんの様々な栄養成分
お口も気分もさわやかにしてくれるみかんの酸味。これはみかんに大量にふくまれているクエン酸によるものです。クエン酸は、疲労すると体内で発生する乳酸を分解してくれます。
みかんに含まれるシネフリンは、気管支などを拡張させる作用があり、ノドの風邪に効果があると言われています。また、ビタミンCは病気に対する抵抗力をつけます。
ビタミンCは、風邪の防止の他、メラニン色素の生成を抑えシミ・ソバカスを防いでくれます。ビタミンAには、肌にうるおいと張りを与え、新陳代謝を促進する働きがあります。
みかんの中の袋に白い膜のようなものがあります。これを「じょうのう」といいます。「じょうのう」には、食物繊維がたくさん含まれており、腸内で老廃物を外に出してくれる働きをします。
「じょうのう」に含まれる食物繊維は、よくかむことで、アルカリ性である唾液をより多く分泌し、虫歯の原因である酸を打ち消すそうです。
みかんの色素に含まれる「β(ベータ)-クリプトキサンチン※」という物質に、発がん抑制の効果があることが、日本の専門研究グループにより公式に公表されました。また、βークリプトキサンチンは骨代謝の働きを助けることにより、骨の健康維持に役立つことが報告されています。
「カロテノイド」と呼ばれる成分の一種。うんしゅうみかんに含まれるβ-クリプトキサンチンは、オレンジの約10倍といわれます。このβ-クリプトキサンチンという成分が、骨の健康に役立つという結果が、農研機構果樹研究所の研究成果より明らかになりました。実験結果によれば、β-クリプトキサンチンを1日に3mg 摂取すると効果が期待できるとのことです。うんしゅうみかん1個(約100g)には1mg以上のβークリプトキサンチンが含まれています。このことから毎日3個のうんしゅうみかんを食べると、健康のためにも大変よいと思われます。
おいしいみかんはこんな見た目
栄養的に袋ごと食べるのが
おすすめ
みかんの袋やスジは食物繊維で、コレステロール
や糖分の吸収をおさえるとともに、
便秘の予防にも効果があると言われています。
もう半分に割ります
エアコンのない部屋など、風通しがよく涼しいところ(気温5度前後)で保管するとよいでしょう。冷蔵庫に入れないほうが日持ちしやすいようです。
箱で買った場合は、いったんみかんを全部出して、傷みがないか確認し、一段ごとに新聞紙などで区切って、1個ずつ並べてください。傷んだみかんと一緒に保管すると他のみかんも傷みが早くなるので気をつけましょう。
くだものの中で総合1位!
「簡単に食べられる」「身体によさそう」「旬の頃には必ず食べたい」「旬の頃には買い置きしている」
「冬を感じる」「子どもが喜ぶ」・・・などのイメージが上位に挙がっています。
また、くだものの中でもみかんに特徴的な「食べるシーン」として、
- ● 食後のデザート
- ● おやつ・口寂しいとき
- ● 気が向いたとき
- ● 風呂あがり
- ● ドライブ・行楽のとき
などが挙がっています。
保存性が高く、持ち運びやすいみかんは、
いつでもどこでも食べられる、
身近なくだものと言えますね。
寒い冬にも、元気をくれるみかん。
さぁ、あなたも、バックにみかんをしのばせて、
出かけましょう!